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大阪北部地震ボランティア『ブルーシート掛け隊』活動記録

山梨・静岡・東京より、6月25日〜7月14日(20日間)

2018年6月18日7時58分に、大阪府北部を震源として発生した『大阪府北部地震』が発生。
大阪から「一部の地域で家屋の屋根が被害を受けている」との情報が20日に入り、協会理事の決定で6月24日夕方、事務局を置く日本ステンレス工業(株)から第1陣が出発しました。
7月14日までの約2週間。第6陣までのべ125名が現地に派遣されました。


6月24日第1陣の出発

PM:15:00 資材・道具の積み込準備

出発式には、山梨県議会議員の卯月政人議員・早川浩議員・望月利樹議員が資材積み込みと激励に駆けつけてくださいました。

職人派遣スケジュール

  • 6/24(日) 第1陣大月出発
  • 7/2(火) 第3陣大阪入り
  • 7/3(水) 雨の為第1陣、2陣、3陣大月へ
  • 7/8(日) 第4陣大阪入り(21:00着)
  • 7/10(火) 第5陣大阪入り(10:00着)
  • 7/12(木) 第6陣大阪入り(10:30着)

現地での作業の様子

社会福祉協議会ボランティアセンターにて打ち合わせ

6月25日、ボランティアセンターへ登録

資材搬入(都築木材様より1,000本の材木を無償で提供いただきました)

被災家屋の様子

ブルーシート掛け

大地震災害の際には自衛隊の方々による屋根のブルーシート掛けも行われますが、屋根にブルーシートを被せて土嚢を置くといった簡易な方法に止まります。
被災直後の応急処置ですので、強い風が吹くとブルーシートがはがれてしまい、雨が降ると屋根の破損した部分から雨が漏ってしまいます。

屋根のプロ集団である当協会では、風が吹いても飛ばないようにブルーシートを材木で固定する施工を行います。
この方法であれば、半年ほどは雨漏りの心配なく過ごすことが出来ます。


【手順1】ブルーシートに材木を巻き付け、ビスを打ち込みます。
強風でもシートが煽られないようにします。
【手順2】割れたりズレて落下の危険のある屋根瓦を取り除きます。
高所作業ですので専門の職人による作業となります。
【手順3】屋根の先端から材木で固定していきます。
半年から1年持たせる工法です。

1棟に費やす時間は1時間~1時間30分。1日に7棟~8棟が限界です。
時間短縮のために、他のボランティアさんにお手伝いいただき、地上で材料を組み立てる方法で時間短縮に努めています(今回は連合大阪のメンバーが駆けつけてくださいました)。
しかし、被災した家屋での生活や家財の保管を余儀なくされる期間は、決して短期間ではありません。
専門技術を持った職人による『耐久性のあるブルーシート掛け』は、本格的な修復のメドが立つまで「安心」して過ごしていただくための重要な処置であると考えています。

今回、災害復旧派遣協会がシート掛けをした高槻市住民の方よりお礼のお手紙をいただきました。
ブルーシートを木材で固定する弊社のブルーシート工法は、20メートルを超える突風にも耐えたとの事でした。職人にとって、とても励みになるご報告もいただきました。

日本ステンレス工業㈱ 大月本部
石岡会長殿

御礼とご報告まで
大阪府高槻市真上町●丁目●番地に住まう●●です。
先日の大阪北部地震に際して、ご遠方、災暑の中、当地区内の屋根瓦被災家屋に、ブルーシートを掛けなおしていただき、誠にありがとうございました。
お蔭さまで、今朝方近畿を通過した台風12号の20メートルを超える突風にも、手がけていただきました家屋10数軒の屋根ブルーシートはびくともせず、シートのめくれ上がりや飛散も一軒もありませんでした。もちろん雨漏りもありません。
本当にありがとうございました。
実は、今回の台風で、別の業者がブルーシートをかけた周辺の被災家屋は、5軒に4軒ほどの割合で、ブルーシートが飛ばされ、落下し、雨漏りに遭われたようです。お気の毒だとは思いますが、我が家をはじめご近所衆は、今朝方家の前で自分の家の屋根を眺めながら、会長様をはじめ皆様に ご支援・救助いただきましたことを、あらためて口々に感謝の言葉をもらしていました。
本当にありがとうございました。
社員の皆様をはじめ、お嬢様や若い女性の方までご同行いただき、災暑のなか頑張っていただきましたこと 遅ればせながら御礼申し上げます。
 ≪社名や会長のお名前、あて先住所などは、伺っておりませんでしたので、インターネットのホームページで調べ、お手紙させていただきました。間違いがあるかとは思いますが、ご容赦願います。≫
まずは御礼とご報告まで。

平成30年7月29日

地元選出の辻本清美衆議院議員・森本信之市議も参加と激励に駆けつけていただきました。

現在までの支援物資・支援金一覧

日付 支援先 物資 数量
6月21日 横山金物店様 ブルーシート 100枚
6月21日 都築木材様 材木 1000本
6月23日 堀建トーヨー様 飲料水 2箱
6月24日 山梨県議会「チーム山梨様」 支援物資 一式
6月24日 高槻市 天理災害救援ひのきしん隊大阪教区様(6/24〜7/14) 拠点家屋1棟
6月27日 粟井英朗様 寄付金 ¥500,000
6月30日 高槻市ライオンズクラブ様 材木・他資材 30万相当
6月30日 イワサキユウコ様 寄付金 ¥10,000
7月10日 大月ロータリークラブ様 寄付金 ¥70,000
7月17日 卯月林業様 寄付金 ¥10,000
7月17日 石岡様 寄付金 ¥10,000
連合大阪様(6/24〜7/14延べ) ボランティア人工 70名
随時 高槻市民有志様 飲料水等
随時 拠点近隣クリーニング店様 洗濯等無償

ボランティア支出一覧

宿泊費 延べ7人 99,079円
消耗品費 釘・シート等 22,200円
振込手数料 報酬振込手数料 648円
車両費(ガソリン) 58,117円
車両費(ETC) 普通車\10,670円×10車両 大型車\17,180円×4車両 175,420円
保険料 社会福祉協議会災害ボランティア保険 20人 14,200円
支払報酬料(労務費) 延べ125人 1,049,500円
食費 朝\700円 昼\800円 夜\1,200円 ×125人 (20日) 337,500円
合計 1,756,664円

新聞への掲載

代表理事 石岡より

去る六月十八日・震度六弱の地震が大阪を襲いました。
一番被害が大きいとされた高槻市(塀が倒れ児童が亡くなられた街)に3日目に電話を差し上げたのですが、災害ボランティアセンターは稼働しておりませんでした。これは行政からは「甚大な被害!」とまでは認識されていなかったということでしょう。
しかし、昨年1月に立ち上げた「一般社団法人災害復旧職人派遣協会」として、「NPO法人グラウンドワーク三島」と「日本ステンレス工業」が独自に被害状況を調査を行ったところ、雨漏りで困り果てている被害者から「すぐにでも来て欲しい!」との切実な思いが寄せられました。

その「屋根被害」情報は、日が経つにつれて250棟、500棟、2,000棟と増え、大阪府ではついに被害家屋が20,000棟を超えたのでした。その大半は屋根瓦の被害でした。
「瓦屋根雨漏り」は高所であるが故に、地元建設会社でも屋根屋さんでも足場の手配がつかないのが現状です。瓦のズレや崩れが発生したの場所ではシート掛けといった応急処置でさえ命懸けであり、容易に手が出せません。断る業者さえあります。ボランティアや自衛隊の方々が、破損部にシートを敷いて土嚢を置く作業では、突風であおられると耐えきれない家屋も多いのです。
今回も、シート張りは2度目、3度目といった被災者も多くいましたが、緊急であるため、やむを得ない事でもあります。
弊社も阪神淡路大震災の時はそうでした。しかしそれから、8回の実績を積んできた我々「屋根ブルシート掛け隊ボランティア」では、今までの経験から、2016年の熊本地震の際には最適な工法を練り上げることができました。危険との隣り合わせであることは変わりませんが、安全対策とスピードがアップし、大風が来ても、雨漏りを防げるように考案してきた工法です。
災害など来ないに越したことはありませんが、こうした有事の際はやはり家屋のインフラ復旧が出来る職人が必要です。被災された方々も、避難場所にいるときは緊張している時です。しかし安心して家に戻った時、家財は直せばいいのですが「雨漏り」は、相当ショックが大きいのです。住むにも住めない。二階は濡れ放題、クロスは変色、畳は使い物にならないといった具合です。
屋根屋さんは極端に少ない職種の中に入ります。被災地には各地から寄せられたブルーシートが山積みされていても、掛けてくれる人がいないのが現状です。

そこで発足したのが「職人派遣協会」なのです。
全国47都道府県からそれぞれ5名の登録があれば、一気に250名の職人が集うことができます。10名であれば500名の職人の手を借りることができます。この事は、各新聞TV社には伝えおきました。今回も各マスコミの報道を見て参加希望があり、また義援金や物資の支援も各方面から受けることができました(別紙)。
善意の行動は、善意の方々の心を動かし連鎖を得られることが分かりました。何事にも、一石を投じ、一歩踏み込むには勇気が要ります。また、形・組織を作るには時間はかかりますが、継続をすれば同志も増え、行動すれば賛同する方も多くなります。さらに、行政をも動かせるようになるはずです。
いずれにせよ、歩みを止めず若手にバトンを渡せるまで前進いたします。

ボランティア報告書より

平成30年6月24日の夕方に、山梨県大月市を出発して大阪府高槻市に向い、6月25日から7月14日までの20日間、「屋根ブルーシート張りボランティア活動」を実施して、今回、無事故で終了することが出来ました。途中、長雨のために、4日から一時帰社しまたが、8日に高槻市入りして、9日より作業を開始しました。
最終的に、活動期間は14日間となりブルーシート掛けは45棟、延べ125人で実施しました。
所定の目的を果たすことができたのも、高槻市の民生委員さんや自治会組長さん、市会議員さん、社協の皆様方、また、高槻市や様々な方々より、宿泊先や材木、支援金などのご支援をいただき、心より御礼申し上げます。

今回の高槻市での新たな支援のあり方として考えたのは、地元の民生委員さんや自治会との連携・協働体制の構築でした。結果的には、その体制で実施した地域では、効率的に作業箇所が選定され、段取りよく作業もできて、30軒近くの被災者の自宅の雨漏りを補修することが出来ました。大型車の駐車場も確保していただき、不審者的な不安を持つ被災者への支援目的の説明やサポートもしてくれました。自治会の組長さんも動いてくれたことから、私たちへの信用度も得て、自治会内部での不公平さの解消・調整も図っていただき、スムーズに作業が進み、高槻市の互助意識の高さを感じました。